
香港映画ではじめて日本と中国のリアルな武術対決を見せた作品で、日本では1980年代に英語版でビデオ化されていたが、今回、デジタルリマスターされた映像と中国語版音声でソフト化される。監督ラウ・カーリョン、主演リュー・チャーフィーは、ショウ・ブラザースのクンフー映画のドル箱コンビだが、本作では、『帰ってきたドラゴン』等、香港で日本人初の人気アクションスターである倉田保昭を招き、真の日中クンフーバトルを描いている。また、ラウ監督自らが劇中で酔拳を披露し、これをきっかけにジャッキー・チェンの『ドランクモンキー酔拳』が作られたと言われている。他の日本人俳優に、大前均、原田力、八名信夫、竜咲隼人等、当時の東映映画に出演していた俳優たちや、紅一点の水野結花が素晴しいアクションを演じているのも見ものである。

貿易商の息子で武術の達人のホー・タオ(リュー・チャーフィー)は、幼い頃に日本の甲田家との間で決められた許婚の女性、弓子(水野結花)と結婚することとなる。甘い新婚生活が始まったかと思えたが、彼女が日本の武術や忍術をたしなみ、稽古をするたびに塀やものを壊してしまうために、ホー・タオは中国武術のように優雅に優しく練習するよう話す。だが、それを聞いて日本の武術を否定されたと思った弓子は、日本と中国の武術の優位性を巡って激しい夫婦ケンカに発展。結局ホー・タオに歯が立たなかった弓子は、日本へ帰国してしまう。ホー・タオは彼女を呼び戻そうと、使用人のアイディアで、2人の決着を武術で決しようと記した挑戦状を送ったが、その挑戦状を手にしたのが弓子に想いを寄せる日本忍術の達人、武野三蔵(倉田保昭)だったことから、怒った武野は7人の日本人武術家を引き連れ香港へ向かい、ホー・タオに闘いを迫った。闘いを決意したホー・タオは、1日に1人ずつ剣術、空手、槍、柔道など様々な武術を用いた日本人武術家たちと対決する。

邦題(まえにビデオ発売されたときのもの)は、いやにB級っぽい感じだが、実はもっとゆたかなひろがりをもった作品で、毎度ながらラウ・カーリョン監督の映画的創造性(武術への情熱が、そのまま幸福に映画のおもしろさへと直結している)に感嘆させられる。
中国語題は『中華丈夫』。丈夫とは、亭主、ハズバンドのこと。実業家の御曹司で武道家のリュー・チャーフィーが、日本人の妻をめとるのだが、たちまち起こる文化摩擦―それも武術に特化された、はげしいもの。妻も日本の武術家だったので、中国と日本の武術や武器の優劣をめぐって夫婦ゲンカになってしまうのだ。『ローズ家の戦争』や『Mr&Mrsスミス』を先どりした夫婦ゲンカ・コメディーが展開され、これだけでも十分にたのしいのだが、ケンカの波紋がひろがって、日本から名うての武術家たちがのりこんでくる。
かくしてリュー・チャーフィーは、1日にひとりずつ、異種武術真剣勝負7連戦をこなさなければならなくなる。日本刀には中国剣で、空手には酔拳で、日本の槍には中国の槍術…と、バラエティーゆたかな勝負がていねいにえがかれ、サービス満点。青汁のCMでおなじみの八名信夫も出ている。7連戦のトリは、忍術をつかう倉田保昭。「日本蟹形拳」なる拳法のうごきがすばらしい。
めずらしいのは、こういうはなしなのに、反日感情を道具にしていないこと。あくまでも、さわやかな武術対決なのだ。ラウ・カーリョン師父の武徳というものを感じる。
宇田川幸洋(映画評論家)
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