
クンフー映画の大家であるラウ・カーリョンが、ラウ家班のスターたち(リュー・チャーフィー、アレクサンダー・フー・シェン、ベティ・ウェイ、ワン・ユー、ラウ・カーウィン、ロバート・マック、シャオ・ホウ、チャン・チャンポン)を勢ぞろいさせて、中国で有名な物語「楊家将」をベースに製作した作品。だが、 本作撮影中の1983年7月7日にアレクサンダー・フー・シェンが自動車事故で急死したため、内容を変更して一族の恨みをはらす復讐劇となっている。本作での見どころは、五郎八卦棍の名手である楊五郎〔ヨン・ンロン〕(リュー・チャーフィー)が妹を救出する際に繰り出すアクションの数々。クライマックスのアクションシーンは、香港アクション映画のなかでも最高峰の一本と言っても過言ではないほどのスーパーシーンの連続である。

宋の時代。朝廷に忠義を尽くすヨン家イプ将軍と7人の息子たちは、その功績を嫉妬しタタールと手を組んだ将軍ポン・メイの謀略により、金沙灘の戦いでほぼ全滅してしまう。たった一人で家に帰ってきたヨン・ロッロン(アレクサンダー・フー・シェン)は怒りと悲悲しみのあまり気がふれてしまい、生き残ったもう1人の息子ヨン・ンロン(リュー・チャーフィー)は、ポン・メイたちの追跡を振り切り、五台山の清涼寺に辿り着く。国賊の汚名を着せられたンロンは、復讐の機会を待つために出家を願い出るが、清涼寺主持(フィリップ・コー)とチー・ワン大師(チン・チュウ)は認めず、自ら断髪し無理やり入寺、堂内にある狼牙棒房での激しい特訓により五郎八卦棍を習得していく。そんなンロンのことを考え、チー・ワン大師はヨン家に行きンロンが生存していることを伝えるが、その帰りにタタールに捕まり命を落とす。ンロンの生存を知った妹のパッムイ(ベティ・ウェイ)は清涼寺へ向かうが、ポン・メイ一派に宿屋で捕えられる。それを知ったンロンはパッムイの救出に向かった!

2006年3月20日、香港に向かった私はついにラウ・カーリョン監督にお会いすることができた。DVDの特典インタビューのためにお会いしたラウ監督は、以前、大病をしたとは思えないくらい元気であった。だが、開口一番、「私はクンフーを世界に広めるためにここへ来た。それを聞いていただけないのならば困る。」映画のインタビューだというのに、会っていきなりそう言われるとこちらが困ってしまう。だが、日本のカタログを見るなり、「でも、これだけ私の作品が日本で発売されると話すわけにはいかないだろう。」といい、子供の頃からの話をし始めた・・・。と3時間に渡るロングインタビューとなったのだが、『少林寺秘棍房』の質問となると、とたんに答える口が重くなった。それは、この映画があまりに悲しい出来事を背負っていたからである。アレクサンダー・フー・シェンの死は、監督にとっても、またこの作品に関わっていた人々にとっても大きなものであったと言う。
ラウ監督は、「この映画は完成させたくなかった。」と話し始めた。だが、会社から「遺作となるから完成させてくれ」と頼まれ、なんとか完成させたのだと言う。本作のなかでリュー・チャーフィーが清涼寺で断髪するシーンは、 フー・シェンの死とだぶり、あまりにも悲しすぎて撮影しながらスタッフ皆が涙を流し一番印象に残ったと語った。同じことをリュー・チャーフィーも話していたが、いろいろな思いが込められて作られた『少林寺秘棍房』は、歴史に残る傑作アクションとなり、フー・シェンの姿も永遠に残っている。
筒井修(映画宣伝プロデューサー)
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