
香港アクション映画の世界を確立させた巨匠チャン・チェ。彼のライフワークとなった “少林英雄傳”シリーズの4部作のひとつである 『続・少林寺列伝』は、少林五祖と呼ばれた南少林の英雄たちの壮絶な復讐戦を描いた作品である。主演の5人には、『ヴェンジェンス/報仇』や『フィストバトル/拳撃』でコンビを組むティ・ロンとデビッド・チャン、悲劇の美男子スター『嵐を呼ぶドラゴン』のアレクサンダー・フー・シェン、チャン・チェ・スター第五の男、チー・クアンチュン、そして『武道大連合 復讐のドラゴン』のリー・フォアマンことマン・フェイと、人気クンフーアクション・スターを揃えている。鍛えられた肉体を駆使して敵と闘うクライマックスの20分は、まさに圧巻である。

清朝は、武術の力を持つ少林寺を恐れ、策略による焼き討ちでほとんどの僧侶や在家の弟子たちを殺害する。生き残って逃げる者たちも、追っ手にことごとく殺されてしまう。唯一、生き残ったのは、胡徳帝[フー・ドーティ] (デビッド・チャン)、蔡徳忠[ツァイ・ドーチュン](ティ・ロン)、馬超興[マー・チャオシン] (アレクサンダー・フー・シェン) 、李式開[リー・シーカイ] (チー・クアンチュン) 、そして方大洪[ファン・ターホン] (マン・フェイ) の5人だけだった。彼らは少林寺の仲間のなかに裏切り者がいると考え、中原にいる仲間と連絡を取り、反清復明運動と殺された仲間たちの仇をとるために、誓いをたてて各自で行動する。だが、敵の目をかいくぐり町へ着いたマー・チャオシンは、不覚にも捕えられてしまう。彼を捕えた者こそ、裏切り者の馬福儀[マー・フーイ](ワン・ロンウェイ)だった。チャオシンを救うために、フー・ドーティたちは敵の屋敷に向かった…。

『続・少林寺列伝』は1974年の作品だから、先にリリースされた『少林寺列伝』(76)よりも製作順は先なのだが、ストーリーの上では続篇にあたる。つまり、『少林寺列伝』が、この映画のprequel―時をさかのぼったはなし―としてつくられたからである。『少林寺列伝』は、清朝による少林寺焼き打ちでおわっている。それに対し、『続・少林寺列伝』は、焼き打ち直後から幕をあけるのだ。同じチャン・チェ監督が、同じ74年に撮った『嵐を呼ぶドラゴン』も、そこからはじまっていた。焼き打ちからのがれた者のうち、広東へ向かった洪熙官と方世玉をえがいたのが『嵐を呼ぶドラゴン』ならば、北をさし中原へ向かった5人をえがくのが『続・少林寺列伝』。そんなふうにして、この74年をスタート地点に、チャン・チェは少林寺サーガともいうべき、枝わかれして増殖していく英雄伝の世界をくりひろげはじめるのである。のちに“少林五祖”(これが原題)とよばれることになる5人だが、はじめは清朝側のつかい手たちにかなわず、それぞれの相手を想定したうえで独自の技をみがく、というはなしなので、実に多彩なアクションがいっぺんにたのしめる。主役陣も豪華なのだが、見のがしてはいけないのは、なんと端役であのリュー・チャーフィーが出てくること。髪のある役だ!すぐに殺されてしまうのだが、レオン・カーヤンとの対戦は貴重なカードであり、見ごたえがある。
宇田川幸洋(映画評論家)
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