
女性アクション映画のはしりとなったキン・フー監督『大酔侠』(66)の主人公、男装の美女剣士“金燕子”。その続編的作品を『片腕必殺剣』(67)のヒットメーカー、チャン・チェ監督、“天皇巨星”ジミー・ウォングと“武侠皇后”チェン・ペイペイという当時のショウ・ブラザース2大スター初共演によって製作された話題作である。キン・フーが監督した前作よりバイオレンス色を強くし、ハンディキャメラで実験的な映像を多用。また当時ではめずらしく、クライマックスの山間のシーンは日本の長野でロケ撮影された。なお04年の東京国際映画祭で『ゴールデン・スワロー』の題名で上映されている。

義侠心にあふれ貧しい人々を助けていた女剣士“金燕子”[チンイエンツ]ことシエ・ルーイエン(チェン・ペイペイ)は、闇討ちされて危ないところを、ハン・タオ(ロー・リエ)という剣士に助けられ、その縁がもとで親交を深めるようになる。ある日、二人のもとに、ハンのおとうと弟子のフー・チェン(ウー・マ)がたずねてきて、悪党どもを皆殺しにしている巷で噂の"銀鵬"[インポン]という剣士の話をする。金燕子は、特徴的な必殺技を使うという"銀鵬"が、行方をくらました兄弟弟子のシャオ・ポンなのではないかと考える。折りしも、悪党集団の金龍会に襲われた金燕子は、盗賊たちが殺されたところに彼女のトレードマークである金色の燕のカンザシが残されていたことを知り、銀鵬が残したと知るのだった。一体、銀鵬の目的は何なのか?ハンはそれが彼女をおびき出すための罠ではないかと推測する。銀鵬を探し出した金燕子は、彼の行為は彼女に対する長年の想いであったことを知った…

古い作品を見ていると、有名スターの端役出演などを見つけたりして、おもわずニヤリとする時がある。『大女侠』では、のちにチャン・チェ作品のメインスターとなったデビッド・チャンが、酒店で金燕子に絡む店員に扮し、絡んで殴られる姿を見せている。また、ショウ・ブラザースの名脇役のクー・フェンが、隣の家の罠にはまって罪を着せられた幼い息子の父親を演じ、そのワンシーンであっという間に殺されるが、その息子役が『ドラゴンロード』や『プロジェクトA』などのジャッキー・チェン作品でスタントや俳優としても活躍していたマース(火星)だったりするからたまらない。マースは『大酔侠』で大勢の幼い子供のなかの一人を演じていたが、姿がその時よりも大きくなっていたのはご愛敬ものである。
香港映画はスタッフが出演するのも当たり前の世界であるが、ツイ・ハーク監督の最新作『セブンソード』で高齢ながらも元気な姿を見せているラウ・カーリョンは、弟のラウ・カーウィンとともに当時はチャン・チェ作品の武師として活躍しており、アクションシーンではかならず悪役で姿を見ることができるので、彼らを探す面白さもある。余談だが、クライマックスに登場する日本の山麓での撮影は、その後のチャン・チェ作品の撮影担当となるカン・ムートーこと宮木幸雄が協力している。
筒井修(映画宣伝プロデューサー)
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