
ショウ・ブラザースを去ったジミー・ウォングに代わり、『英雄十三傑』(70)や『ヴェンジェンス/報仇』(70)とチャン・チェ監督作品のメインスターとなったデビッド・チャン、ティ・ロンを配して製作された新編。全2作よりもアクションと残酷度が増し、クライマックスの橋の上での100人斬りや三節棍と片腕剣士の戦いは、香港武侠映画の中でも代表的なアクション映画のひとつとされている。今もこの作品をベスト1にあげる香港映画人も多く、タランティーノをはじめ欧米のショウブラ・ファンの人気が最も高い作品である。

江湖で評判の若き双刀の剣士レイ・リ(デビッド・チャン)は、彼の活躍を喜んでいない英雄ロン(クー・フェン)の策略による対決に敗れ、自らの右腕を切り落とし、二度と剣を持たないことを誓う。人知れず町の酒場で働いていた彼は、生きる意味を失い、落ちぶれ果てていた。だが、そんな彼を救ったのは若き武侠家フォン(ティ・ロン)だった。レイの力を見抜いたファンは、レイを慕う娘パー・チアオ(リー・チン)を助けたことをきっかけに、二人は熱い友情に結ばれる。しかし、フォンの活躍を快く思わないロンは、悪名高き虎威山荘のチェン(チェン・シン)が主催する武術大会を使ってフォンを呼びだし、濡れ衣を着せたうえで殺害する。それを知ったレイは、親友の復讐と片腕とともに失った武侠家の誇りを取り戻すべく、単身、敵の元へ向かうのだった・・・。

初めて『片腕必殺剣(獨臂刀)』シリーズの存在を知ったのは、ジミー・ウォング主演の前2作というよりも、本作が先だったと思う。その時は原題の『新獨臂刀 The New One-Armed Swordsman』ではなく、海外公開題の『Triple Irons』であった…輸入ビデオの中に入っていた予告篇だが、たった2,3分ながらもいきなり主演のデビッド・チャンによる、あのクライマックスの橋での大激闘シーンを見せられ、子供心に興奮したのを覚えている。
当時、インターネットなど無い時代でなんとか必死で調べると、本作が71年の興行収入第3位であるのと、チャン・チェ監督作品であることを知った。やがて香港映画に深く携わる様になって、シリーズの概要や関係性、『新座頭市 破れ!唐人剣』を始め、『獨臂刀大戦獨臂刀』や『獨臂双雄』(共に未公開)など多数のエピゴーネンを生んだ事もわかった。
また以前、ヨーロッパの映画ライターと話した時に、フランスではジミーさんの前2作よりも評価が高い事も知り驚いたものだ。それも本年度(05年)のカンヌ映画祭で、本作がデジタル・リマスター上映された事により納得させられる。
そして95年の香港電影金像奨の授賞式では、遂にデビッドと会えた。彼と武侠映画やチャン・チェ監督作品、弟子ジョン・ウーのルーツについた熱く語ったのは、今となっては良い思い出である。
本作はシリーズ中、最もパワフルな武侠映画として今なお語り継がれている。是非とも見て貰いたいものである。
中田圭(映画監督)
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