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伝説の武打巨星、"鋼鉄の男"チェン・クアンタイ!

1945年広東出身のチェン・クアンタイは、消防士を勤める傍ら大聖劈掛門派のチェン・サウチュンに師事し、69年にシンガポールで開催された東南アジア国術大会で軽重量級王者となる。同年に映画界に参入したクアンタイは、ショウ・ブラザース作品『吼えろ!ドラゴン、起て!ジャガー』(70)の絡み役や、ゴールデン・ハーベスト作品『追撃』(71/未)の武術指導などで経験を積み、チャン・チェ監督作品『上海ドラゴン 英雄拳』(72)の馬永貞役で一躍スターダムに駆け上がる。ショウ・ブラザース初の武打巨星であるクアンタイのクンフー・アクションは、両腕を大きく旋回させながら放つダイナミックな拳技を持ち味とし、その口髭を蓄えた男臭い風貌から"鋼鉄の男"と呼ばれた。

その後クアンタイは、チャン監督が台湾に設立した長弓公司の創業作品『嵐を呼ぶドラゴン』(74)や『少林子弟』(74/未)で洪家拳開祖の洪煕官を演じたばかりか、香港に戻るとラウ・カーリョン監督作品『ワンス・アポン・ア・タイム 英雄少林拳』(76)で陸阿采、『少林虎鶴拳』(77)で再び洪煕官を演じるなど香港クンフー映画の名作に次々と主演する。

だがこの時期クアンタイは、ショウ・ブラザースと契約問題等で揉め、自らの映画会社・大聖公司を立ち上げ、今もクアンタイ自身が最も愛する監督&主演作『鐵馬〔馬留〕』(77/未)を発表する。余談だが『真説モンキーカンフー』(80)などのチェン・ムクチュエンは、以前からクアンタイの実弟と言われていたが、クアンタイ本人の談では血縁関係はないとのこと。

さて、ショウ・ブラザースと和解したクアンタイは、チャン監督の異色フリークス作品『残酷復讐拳』(78)、クアンタイとワン・ロンウェイら3人の悪漢たちの激闘がオープニングを飾る『背叛師門』(80/未)、ホラー・アクションの秀作『人皮燈籠』(82/未)などショウ・ブラザースで活躍を続ける。余談だが、この時期にクアンタイが主演したクイ・チーホン監督の傑作武侠片『萬人斬』(80/未)は、あのチェン・チャンホーがランラン・ショウと共同で製作し、韓国映画側が大幅に別編集撮りを行った韓国公開版『怒鳴剣』が存在する。別編集部分にはクアンタイも参加しており、今も多くの謎を残すバージョンだ。85年にショウ・ブラザースが活動を休止した後、クアンタイはチャン・チェ監督引退記念作品『上海13』(85)、同じくチャン監督の監督生活40周年記念作品『ワイルド・ヒーローズ/暗黒街の狼たち』(89)などに出演するが、90年代中盤になるとその姿を銀幕で見る機会が減っていく。私生活では歌手のファン・イーチェン(方怡珍)などと4度の結婚を繰り返し、銀幕上と同様、その生活振りも豪快だったためか現在のクアンタイは決して生活的には恵まれていないという。だが近年の香港クンフー映画で見られる実際は武術経験ゼロの俳優が編集テクニックやCG合成の力を借りて"武打星"然としている姿に一抹の寂しさを感じさせる中、逆に無骨で逞しい"武打巨星"チェン・クアンタイがその全盛期に見せてくれた本物の武術の凄みと迫力に今も強烈なノスタルジーを感じているのは私だけではないはずだ。ドニー・イェン主演最新作『龍虎門』(06)に貫禄十分に出演しているチェン・クアンタイに大いなる敬意を表し、改めてここに"鋼鉄の男"の復活を称えたい。

知野二郎(香港功夫映画評論家)

チェン・クアンタイ出演作品

1970年 吼えろ!ドラゴン 起て!ジャガー
1971年 『大決闘』
1972年 上海ドラゴン 英雄拳』『水滸傳』『復讐ドラゴン 必殺拳』『四騎士』
1973年 ブラッド・ブラザース 刺馬
1974年 嵐を呼ぶドラゴン』『五虎将』『少林子弟』『成記茶樓』
1975年 『血滴子』『マジッククンフー神打拳
1976年 ワンス・アポン・ア・タイム 英雄少林拳
1977年 少林虎鶴拳
1978年 『残酷復讐拳』
1981年 『千王闘千霸』
1982年 『賊王之王』『人皮燈籠』
1983年 『地獄のニンジャ軍団クノイチ部隊』『脳魔』『神鳥英雄伝
『レディ・ニンジャ セクシー武芸帳』
1984年 『狼達の挽歌』『上海13』
1989年 『ワイルドヒーローズ 暗黒街の狼たち』
1991年 『蒼き獣たち』『志在出位』
2002年 『ツイ・ハークの霊戦英雄伝』